重賞コラム(有馬記念)
リピーターになる条件とは?
有馬記念は中山芝2500mで行われる古馬混合G1です。
毎年のように古馬vs3歳馬の構図となり、今年の上位人気も古馬vs3歳馬で人気を分け合う形になります。
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(2023年上位人気想定)
スターズオンアース(4歳)
タスティエーラ(3歳)
ジャスティンパレス(4歳)
ソールオリエンス(3歳)
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3歳馬にとってみれば、古馬相手に斤量の恩恵を受けるG1レースはこれが最後です。
3歳馬といっても来月には4歳になる立派な“古馬予備軍”であり、有馬記念が行われる3歳12月における2kgの斤量恩恵は非常に大きなアドバンテージになります。
秋古馬三冠レースに着目しても、
10月に行われる天皇賞秋
11月に行われるジャパンカップ
そして12月に行われる有馬記念
どのレースも3歳馬は2kg軽い斤量で走ることができます。
成長著しい3歳馬にとってみれば、最も遅い時期に走る有馬記念こそが斤量の恩恵が強く、結果的に有馬記念は3歳有利の傾向が強くでているレースです。
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(有馬記念:過去10年)
3歳馬 複勝率36.0% 複勝回収率95%
4歳以上 複勝率15.6% 複勝回収率38%
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また、3歳で有馬記念に出走した馬における、次年度以降の有馬記念成績を見てみると、ほぼすべての馬においてパフォーマンスを落としていることがわかります。
具体的に、3歳時に有馬記念で5着以内に入った馬で、4歳以降でパフォーマンスを上げたのは、近10年でキタサンブラックだけです。
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"有馬記念に3歳で出走し5着以内だった馬の
次年度以降の有馬記念成績"
馬名 (3歳→4歳→5歳)
ブラストワンピース 1着→未→中止
ゴールドシップ 1着→3着→3着→8着
サトノダイヤモンド 1着→未→6着
エフフォーリア 1着→5着
サートゥルナーリア 2着→未出走
トゥザワールド 2着→未出走
ワールドプレミア 3着→5着
キタサンブラック 3着→2着→1着
ステラヴェローチェ 4着→未出走
スワーヴリチャード 4着→未→12着
ステラヴェローチェ 4着→未出走
スカイディグニティ 5着→未出走
タマモベストプレイ 5着→未出走
タイトルホルダー 5着→9着
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これは何も5着以内に限った話ではなく、3歳で有馬記念に出走して6着以下だった馬においても、次年度以降の有馬記念で馬券内に巻き返した馬は1頭もいません。(近10年)
有馬記念はリピーターレース言われることもあり、実際に近年でもクロノジェネシスやシュヴァルグラン、ゴールドアクターが連続して馬券内に来ることもありました。
しかしこれらの馬は4歳になってから初めて有馬記念に出走し、馬券になった馬たちです。
つまり、斤量恩恵のない古馬になって有馬記念で好走できた馬は、来年以降も好走に期待できると考えられること。
一方で3歳という斤量恩恵をもらった馬が好走したところで、来年以降も好走できるかは未知。むしろ人気することを考えれば期待薄である可能性が高いと考えられます。
今年のメンバーで3歳時に有馬記念に出走していたのは
ジャスティンパレス(7着)
タイトルホルダー(5着)
上記2頭はもっと悪い着順になると考え軽視。
一方で3歳馬として斤量恩恵の強い
ソールオリエンス
タスティエーラ
ハーパー
の3頭は評価をあげるべきでしょう。
ローテーションから買い要素を探る!
【各馬解説】
※こちらの各馬解説は枠順発表前の見解であり、枠順はもちろん、当日のオッズなどで最終的な結論は変えますのでご了承ください。
●スターズオンアース
<前走>
ジャパンカップは外枠だったがすんなりと4番手を確保。折り合い面もスムーズで、しっかりと能力を発揮しての3着好走。着順以上に評価はできないが、ドゥラメンテ産駒らしく長い距離のほうが安定して力を発揮できることを証明する内容だった。
<2走前>
ヴィクトリアマイルではマイルへの短縮でもしっかりとポジションを取る神騎乗で3着。ただし上位はソングライン、ソダシというトップクラスのマイラーと考えれば3着でも十分すぎる内容だった。
デビューからどの条件でも3着以内を外していないようにかなり好走域が広い印象だが、それだけ器用な競馬をしており着順以上に評価できる内容がない。
ここ2戦は東京芝1600m、東京芝2400mと比較的能力が発揮されやすいコースに対し、今回は中山芝2500mとトリッキーなコース替わりとなる。リスクを考えるとオッズ以上に評価はできず据え置き。
●タスティエーラ
<前走>
菊花賞は中団うしろでじっくり構え、差し勢の中では比較的スムーズに走り2着好走。やや恩恵ある好走だった。
<2走前>
日本ダービーはスローペースを先行して好走と上積みはないが、有力馬の中ではポジションを取れる強味があるので十分に生かし切った勝利。
皐月、ダービー、菊花賞とどの条件でも馬券内に入っているように好走域は広く、世代トップクラスの能力は間違いない。
ただし、ここ2走は着順以上に評価できる内容ではなく、好走がすべてオッズに織り込まれるのであれ妙味は薄い。3歳馬なので斤量恩恵から印を回す価値はあるが、本命級となると強気になれず。
●ジャスティンパレス
<前走>
前走の天皇賞秋はHペースの差し決着。ほぼ最後方から差して2着とやや恩恵の強い好走だった。
<2走前>
宝塚記念は差し有利の展開で後方外目から差して好走。直線でムチを落とすハプニングはあったもののしっかりと加速してたし、この3着は着順以上に評価できる内容ではなかった。
近2走は恩恵あっての好走で着順以上に評価できない。今年は古馬としての参戦なので斤量の恩恵もなく、評価は据え置きで。
●ソールオリエンス
<前走>
菊花賞は後方大外からの競馬。上位は比較的内目を走ったことを考えれば距離ロスは大きいし、3着とはいえ着順以上に評価できる内容だった。
<2走前>
セントライト記念は内有利の馬場で大外を走り続ける不利あり。レースラップのラスト600mは11.7-11.7-11.0と加速ラップで、追い風の影響があったとはいえ差しきるには物理的にも厳しい競馬になった。
器用さがないのでどうしても展開次第の競馬にはなるが、ここ2戦は着順以上に評価できるのは事実。
コーナーが苦手なので内回りは疑問も、皐月賞では勝ち切っているし展開次第では十分通用するはずである。
今回は3歳馬で斤量恩恵もあるし、人気も落ちるだろうここは評価すべき時。
●ドウデュース
<前走>
ジャパンカップは有力馬の後ろにつけるも流れ込む形で4着。特に大きな不利もなく、現状は力負けという内容だった。
<2走前>
天皇賞秋は前半1000mが57.7秒の超Hペースを4番手でやや展開向かず、さらに終始折り合いを欠くような走り。直線は全くいいとこなしも、さすがに能力を発揮しているとは思えず見直し可能な内容だった。
とにかく折り合いが難しい馬で、ここ2戦はやや折り合いを欠く走りになっている。もちろん乗り難しい馬に対して戸崎騎手への乗り替わりは影響していると思うが、距離は2000m前後がベストな印象を受ける。
今回は2500mへの延長で、条件的にはマイナスになるだろう。ただしこういう条件時の豊さんは一発に賭けて後方待機をする可能性が高い。またジャパンカップの内容からも対スターズオンアースとの比較ではそこまで大きな能力差があるとは思えない。人気が一気に落ちるくらいであれば適性無視して印を回す価値はありそう。
●スルーセブンシーズ
<前走>
凱旋門賞は近年では珍しく高速馬場。スローからの瞬発力戦で追い出し遅れと決して恵まれてはいないが、強い海外馬相手に4着と評価できる内容だった。
<3走前>
圧巻なのは宝塚記念ではなく、3走前の中山牝馬S。後方外目から差し切って勝利すると、ラスト2ハロンは11.2秒-11.3秒とかなりの余力を残して差し切り勝ち。
最後に急坂のある中山でラスト1ハロン11.3秒は優秀だし、2週前に行われた中山記念(勝ち馬:ヒシイグアス)よりも走破時計も速い。よってポテンシャルは間違いなく高いと判断していいだろう。
国内、海外ともに近走の走りは能力を示すもので、有馬記念でもポテンシャルは十分通用すると考えてよさそう。宝塚記念はやや恩恵があっただけに人気するようなら迷っていたが、今年は上位層が厚い分でオッズもつくはず。
もともと前走海外組は疲れなどが心配され軽視されやすい傾向にあるが、近年はむしろ前走海外組は積極的に買うべきローテになりつつある。ここは重めの印を打ちたい。
●タイトルホルダー
<前走>
ジャパンカップは番手から追走するも、上位勢にぴったりとマークされる形。さすがに東京芝2400mだとキレ負けするし、適性的にもむかず5着敗戦だった。
<2走前>
オールカマーはメンバーレベルの高い一戦で逃げて2着。ただし明らかに叩きで使っている感じがあったし、スローからの後半5ハロン戦で条件的にもやや分が悪かった。
過去に有馬記念では好走できていないが、これは冬の馬場が合わなったり、ペースがキツかったりと一応見直し可能内容。
ただし今年に関しても同様に馬場の恩恵は受けられそうになく、以前としてハードルは高い。おもったよりも人気落ちしそうなので印を回してもいい水準になるかもしれないが、それでも強気になれる条件ではない。
●ハーパー
<前走>
エリザベス女王杯は結果的に内を立ち回った組が上位を独占。3番手の内目とベストポジションから競馬して好走しており、着順以上に評価できる内容ではなかった。
<2走前>
秋華賞はイン、前有利の競馬でベストポジションから3着と恩恵あっての好走だった。
ここ2戦は恩恵の強い好走で着順以上に評価ができない。3歳馬なので斤量恩恵があるにせよ、メンバーレベルも格段にあがる一戦。ここは評価できず。
●ライラック
<前走>
エリザベス女王杯は後方からの競馬でやや展開むかず。上がり3ハロンも34.2秒と本馬にとっては速い上がりで追い込んでおり、これで4着は成長を感じる内容だった。
<2走前>
府中牝馬Sは休み明けということもあり+18kgだったが、先行して3着と強い競馬。展開の恩恵があったとはいえ上り33.0秒はライラックにとって最速の上りだし、なにより序盤からある程度ポジションを取れたことは収穫が大きい3着だった。
ここ2戦は充実期なのか競馬ぶりが良化しており、着順以上に評価できる内容になっている。上がりのかかる競馬が得意なので2500mへの延長や中山芝2500mは歓迎のはず。展開次第では突っ込んできていいし、ここは穴馬候補としての魅力あり。
●シャフリヤール
<前走>
BCターフのレースラップを見てみると、中距離戦らしく中盤で緩む展開。それでも2Fが24秒台前半であれば大きく緩んだわけでもなく、比較的持続力も求められた形。
0~2F:24.85秒
2~4F:23.94秒
4~6F:23.87秒
6~8F:24.34秒
8~10F:24.28秒
10~12F:23.02秒
シャフリヤールは中団インからスムーズな競馬をして3着と悪くなく、相手もAuguste Rodinなど欧州上位馬と考えれば悪くないパフォーマンスを示してきた。
<2走前>
札幌記念は11着に大敗も、レース後に喉頭蓋エントラップメントを公表。その後手術を行っているように、参考外レースと見ていいだろう。
喉頭蓋エントラップメントの手術明けの代表例としてはグランアレグリアの天皇賞秋前などがあるが、比較的侵襲度の低いものなので影響は軽微。実際に前走のBCターフの走りから影響も皆無と考える。
ただし昨年のジャパンカップ2着はメンバーレベルを考えても強調できるものではなく、年齢的にも成長を感じる時期ではない。中山芝2500mで強気になれる馬でもないし、ここは軽視したい。
●ディープボンド
<前走>
ジャパンカップは有力馬よりも後ろからの競馬。瞬発力がない馬なのでこの時点で勝てるわけもなく、いいとこなしの10着敗戦だった。
<2走前>
京都大賞典は1,2,4,5着馬が内ラチ沿いを走る競馬で3着と着順以上に強い競馬。
この2戦は見直し可能な内容で、着順以上に評価が可能。有馬記念は4歳時に2着に好走しているように問題なく、ズブいタイプなのでマーカンド騎手はかなり手が合っている。穴馬としての魅力は大きくここは重めの印が妥当。
●ヒートオンビート
<前走>
AR共和国杯は差し有利、内有利の展開で後方員からロスない競馬。直線は外に出して差しと評価は据え置きの内容だった。
<2走前>
京都大賞典は直線で挟まれる不利があったので着差ほど悲観する内容ではないものの、すでに手ごたえは劣勢。おそらくタフな馬場が合わない印象を受けた。
どちらかといえばキレイな馬場が得意なタイプで、冬の中山の芝はマイナスになりそう。ポテンシャル的にも一枚足らない印象だし、ここは厳しいのでは。
●プラダリア
<前走>
京都大賞典は番手のラチ沿いから完璧な競馬をして勝利と上積みのない走り。
<2走前>
新潟記念は緩い流れを先行してロスない競馬で4着とこちらも着順以上に評価できない走り。
近走はすべてロスない競馬で着順以上に評価ができない。相手関係も一気に強くなるここは強気になれず。
●ホウオウエミーズ
<前走>
福島記念は差し有利の展開で差して勝利と恩恵が強い好走。
<2走前>
新潟牝馬Sは例年通りやや低調なメンバーで、タフな馬場で差して好走と条件が良い中での好走だった。
タフ馬場&差し決着が得意なタイプで舞台は良いが、ここ数戦は恩恵が強い好走。メンバーレベルも一気に高くなるここは厳しいレースになる。
●アイアンバローズ
<前走>
ステイヤーズSは途中から先頭を奪って大逃げ勝利。ただし長距離戦らしくメンバーレベルは低いし、やや恩恵がある勝利だった。
揉まれ弱いタイプなので、馬群の中で競馬をせず行き切ったほうが良いタイプ。今回も逃げれば一発あっても良いが、同型にはタイトルホルダーもいる。相手も強いし、オッズ以上に評価はできない。
●ウインマリリン
<前走>
ブリーダーズカップフィリー&メアターフは後方からの競馬を余儀なくされるが、馬群をさばくように差してきて4着好走と悪くない内容だった。
<2走前>
オールカマーは番手のインに潜り込む競馬もラスロは伸び負け。あまり調子が良くなかったようなので見直しも可能だが、やや低調な内容だった。
それ以前はHペースの札幌記念や海外など見直し可能な内容ではある。条件は良いはずだし、一発あるならここ。