今年もまた、この季節がやって来た。


アーモンドアイの三冠に武豊の4000勝など、さまざまな出来事があった2018年。
あなたのベストレースは何でしたか?
競馬予想GPでは有馬記念の特別企画として、人気予想家たちに今年のベストレースを語ってもらいました!
まるで文学作品を思わせる予想家の世界、ぜひお楽しみください!


今井雅宏


有馬まで続く、今年の物語が用意した結末とは?!


 今年のベストレースというと、やはり予想の上位馬が3着以内を独占して高配当を当てた重賞になるだろう。ならば、1点目で3連複233倍を当てた目黒記念辺りが良いのではと筆を執ったが、どうも気が乗らない。心がざわついて仕方ないのだ。
 私を強く揺さぶって離さないのは、いつだって先週の競馬場だ。今は、昨日行われた朝日杯FSで、危うく平衡を失いかけている。そこで今回は、このレースの話をしようと思う(今週の無料部分で技術的な側面に触れるので、予想家として迎える「レースへの気持ち」に話を集中出来て、コラムの趣旨にも合うだろう)。
 また、一般的な「ベスト」という枠組みから少し外れて、敢えて3点以内の的中でないレースを選んだのには、前哨戦の歩みと本番への流れが、今シーズンを記憶するのに、まさにベストな作品となったこともある。
 そう、朝日杯FSに続く道のりは、一見順調なものに思えた。

 前哨戦の第一弾、サウジアラビアRCは4番人気アマーティを本命にし、3連複41倍を的中した。続く京王杯2歳Sでは、2番人気アドマイヤマーズ本命で、馬単1点目、3連複も2点目で当てた。最後のデイリー杯は、単勝33倍の人気薄メイショウショウブを本命にし、馬連を1点目で当てた。
 ほぼ完璧に前哨戦を読み解いてきたのだが、朝日杯FSの馬柱を見ても、なにか嫌な肌触りが残った。それは、ここ1,2ヶ月ほど続く、違和感と重なるものだった。
 この3レースには、それぞれ単勝1倍台の断然人気が出走し、私の本命を脅かしていた。そして、その3頭の鞍上には常に外国人がいて、超高配当の道を塞いできたのだ。
 彼らは馬のストレスを軽減すべく最も負荷が掛からない位置取りを選択する。また、下級条件や人気薄ではそれほど怖くないが、重賞で1番人気を分け合うような人気馬に乗るときは、予め照準を合わせてステップを組んで貰うので、前哨戦をストレスの無い形で終わらせる確率が高い。だから、穴狙いには厄介なのだ。

 今回の単勝票は、グランアレグアとアドマイヤマーズの2頭でほぼ独占し、やはりその鞍上には二人の外国人がいた。またしても、同じ光景だったのだ。
 こうなると、これまで同様、彼ら外国人が乗る人気馬の僅かな弱点を突き、慎重に穴馬をピックアップしないといけなくなる。
 ところが新聞を広げると、答えはあっけないほど簡単に出た。ストレスを持った内目の彼らが崩れるのは、ハイペースの消耗戦になって、揉まれ込んだときだからだ。
 好都合なことに、先行馬が多く、そのシナリオは十分実現可能に思える。
 そこで目に飛び込んできたのが、大外枠の7番人気エメラルファイトだ。クロフネ産駒で消耗戦に強く、短縮で体力補強もある。ハイペースで先週のジュブナイルF同様の外差し馬場になれば、ほぼ来る。直線でハナ差の争いになればビュイックだけに、二人にも競り負けない。

 が、待てよ・・・。
 そのとき、私の中に秋競馬で感じてきた違和感がまた襲いかかってきた。
 注目の人気2頭が「内に集まった」のだ。しかも、「追い込み馬ではない」。
 この状況で外差し馬場が発生するのか?
 発生すれば大穴決着になるが、今週は恐らく先週のような外差し馬場にはならない。また、一見多そうに見える先行馬だが、果たして彼らが果敢に前へ行くのか?この秋は、GⅠで先行馬が多くいても、心身疲労が出にくい、緩い流れが続いている。GⅠではない3つの前哨戦でも、外国人が緩い流れに上手く乗って、大波乱を阻んだのだ。
 が、内も伸びる緩い流れの前残り馬場を想定すると、人気2頭が同時に消えるシーンは考えにくい。ならば、やはり敢えて強引にハイペース外差しのエメラルファイトで行くべきか。単勝64倍なら、ハイペースになって、急激に内目が荒れるシナリオに賭けても良いはずだ。なにせ、そうなれば、必ず来る。ペースという不確定要素以外は、理論上、何一つ間違っていないのだ。いつもなら迷わず本命にし、ハイペースになって大穴が当たる確率の高いパターンである(実際、同馬は出走馬中断然の上がり一位で、外枠絶対不利の流れの中、差し馬最先着を果たした)。
 だが、それだとこの秋に見せられてきた違和感への回答にはならない。恐らく、この結末が想定している激戦の風景とは、全く違う淡々としたものが今回も用意されている。人気2頭の枠順と、騎手の並びが、それを物語っていた。

 ということは、平均速めか!
 この枠順で、これだけの先行馬の数なら、ハイペースでなくとも平均速めになり、かつ内も伸びるシナリオが俄に説得力を持つ。平均速めなら、内の人気馬で決まるストーリーの空白地帯を突く、破壊的で、かつ確度の高い馬がいた。
 単勝77倍のクリノガウディーだ。
 今回は短縮で、差しに回る位置取りショックを掛けてくるはず。掛かりやすい上に、上がり勝負向きでもないが、平均速めになれば、内枠から馬群の中に入って折り合えるし、新馬で出した34.2の上がりでも、十分差し切れる計算だ。
 なるほど、ここはビュイックではなく、藤岡なのだ。
 ほぼ必ず1頭は、日本人の人気薄が上手く流れに嵌まって激走したのが、秋戦線でもあった。この偶発的な日本人の好騎乗を誰がするか読み切るのは難しいが、強い人気馬をマークして、ちょうど開くスペースで嵌まるパターンなら、乗り間違えは少ない。
 前に行く隣のグランアレグアをマークすれば、激しい先行争いで消耗した人気2頭の後にポッカリ開いた進路を縫って、短縮の鮮度で差し切れる。惨敗後で疲労がなく、このレースの歴史からも短縮の効果が極めて高い東スポ杯を使い、しかもスクリーンヒーロー産駒だ。消耗戦になれば、ディープインパクトやダイワメジャー産駒に負ける理由は見当たらない。
 
 そして土曜の競馬が始まった。
 先週より、やはり内が伸びてきている。用意されたシナリオに向かって、全てが動き始めていた。この風景を放さないように、慎重に予想していく。
 最終確認を馬体重とパドックで済まし、クリノガウディーの単複中心に買い込んだ。
 スタート時、私が凝視していたのは、本命のクリノガウディーではなく、隣の対抗グランアレグリアだった。これが出遅れると、藤岡も頭に描いているはずの目標にするプランが崩れてリズムを崩すかもしれないし、スローになる可能性が高まるので掛かるリスクも増し、極めて危険だ。
 
 グランアレグアは、なんとか出て押していく。その後ろにクリノガウディー。
(よし、出来た!)
 だがそう思ったのは、スタートからほんの僅かな時間だった。
 なんてことだ。
 ・・・遅い。今回もペースが上がらないのだ。
 クリノガウディーは抑えるのに苦労し、終始、掛かってコントロールを失う寸前の状態が続く。人気2頭は緩い流れに乗り、その前だ。それでも馬群の中で力みながらもなんとか我慢する。
 ギリギリの攻防。もう少し出していかないと、同馬のキレ味では楽をしている前を捉まえられない。だが、この流れで出すと掛かる。上がり34秒前半、同馬のボーダーラインで間に合う決着になれば、このスローでも勝てる可能性は僅かに残るが・・・。
 そして直線。
 突然、「差せ!」と私は大声で叫んだ。驚いた知り合いが振り返る。

 34.0秒・・・。同馬の今回における、理論上限界の上がりだ。
 この秋のGⅠと、やはり同じだったのだ。
 緩い流れにちょうど良い位置で流れに乗った人気の外国人に、一人の日本人が乗る人気薄の馬が迫るも勝利に届かない。今年を象徴する風景が、そこにはやはりあった。
 単勝77倍は、日本人の連敗阻止という物語とともに、スルリと抜け落ちた。

 
 そして有馬記念である。
 これまでの風景が同じように繰り返されるのか?あるいは、一転した世界が切り開かれるのか?
 同じ風景なら、今見てきた物語を、そのままなぞっていけば良い。
 最初のシナリオは、この秋と全く同じ風景、つまり緩い単調な流れになった場合だ。JCをパスして体力を養った、外国人の乗る人気馬=レイデオロという、おなじみの構図。同馬は気分良く、緩い流れで前目に付ける。それを脅かす最初の候補は、内から中枠に入ったC要素があって体力を残している馬、ないしストレスの薄れたS系だ。彼らが馬群を割ってくる。
 そういった馬が用意されていないときは、チャンピオンズCやJCの2着馬のような結末だ。JCのように強引に前に行ったLないしS系が縦長の展開で残るか、チャンピオンズCのように外枠に飛ばされたCないしS要素のある差し馬が、一か八か馬群に突っ込む形である。

 もう一つの、先行激化のシナリオはどうか?この場合、外目を捲り気味に動くSないしL系と、そのぽっかり開いた中を突くC系の争いになる確率が高い。この激戦シナリオは、今年の流れに反しているようにも思える。だがそもそも、この秋の風景を象徴するレイデオロのスタートタイミングが合わないとしたら、どうだ?同馬はスタートがそれほどではなく、GⅠを1着後に間隔が開いての出走なら、スタートで一瞬、気持ちが切れる可能性も低くない。そうなれば、ルメールは得意の捲りに出る公算が高まる。その瞬間、レースは急激に動き出し、このシナリオは俄に現実味を帯びてくるだろう(*別表に、有力出走馬のタイプを記したので、参考にして頂きたい)。

 主な出走馬の要素表。カッコ内は各要素を強い順に表記している(詳しくは、単行本やホームページを参考のこと)。

 オジョウチョウサン(S、C)
 キセキ(L、S)
 クリンチャー(S、L)
 サクラアンプルール(C)
 サトノダイヤモンド(L、S)
 シュヴァルグラン(C、S、L)
 スマートレイアー(S、C)
 パフォーマプロミス(C)
 ブラストワンピース(S、L)
 マカヒキ(L、S)
 ミッキースワロー(S、C、L)
 ミッキーロケット(C、S、L)
 モズカッチャン(C、S)
 リッジマン(S、L)
 レイデオロ(S、C、L)

用語についてはこちらの「Mの用語集」でも解説していますので参考にしてください。

予想は通常レース前日の夜以降にご覧いただけます。


高柳誠二


予想博士が推す神7!


今年のベストレースは?と聞かれても、淀へ通い詰めた学生時代と違って特定の馬への思い入れはないし、馬券の当たり外れも自己防御本能からすぐに忘れてしまう有様で(苦笑)。
仕方ないので、私の予想ツールである高柳式スピード指数の高かった神7レースを挙げてみる。

1.ジャパンC(アーモンドアイ)
2.根岸S(ノンコノユメ)
3.大阪杯(スワーヴリチャード)
4.師走S(テーオーエナジー)
5.マイラーズC(サングレーザー)
6.チャンピオンズC(ルヴァンスレーヴ)
7.金鯱賞(スワーヴリチャード)

今後の馬券的には師走Sに注目して頂くとして(笑)、私のベストレースは月並みながらジャパンCとしておきたい。
何といっても2分20秒6の大レコードは記憶の引き出しになるし、二四の時計は他のどの距離よりもインパクトがある。
ただ、8号族極軽系のアーモンドアイにはお誂え向きの条件が揃っていたし(過度な期待は酷かと)、当時後塵を拝した地力系FN馬も見た目ほどの力量差はないと思っている。

有馬記念に出走予定のキセキ(22号族)は秋の府中3戦が内有利なコース状態をフル活用したおかげ様とはいえ、気性的に前向きな今ならむしろ小回りの中山は歓迎のクチ。
シュヴァルグラン(12号族)はボウマンJへ手が戻るのが大きく、血統の良さが引き出されそう。
サトノダイヤモンド(1号族)はJCで外を回したし、遡って大阪杯では内でフン詰まりと、◎を打つとロクなことがないが(苦笑)、勝負所の機動力は取り戻しているので、小回りの中山ならラストランでも見せ場以上の期待感。
最後に過去4年の有馬記念のファミリーナンバー傾向について触れると、極軽系FNの好走はサウンズオブアース(23号族)1頭のみで、圧倒的1番人気が予想されるレイデオロ(2号族)も週末に一雨あって馬場が渋るようだと苦戦も。
好走が目立つのは地力系の1号族(ゴールドアクター2回、サトノダイヤモンド、クイーンズリング)と、バランス系の9号族(トゥザワールド、キタサンブラック3回w)。
前者ではサトノの他にクリンチャー、ハッピーグリン、マカヒキ、リッジマンと穴っぽいところが、後者には3歳馬ブラストワンピースがおり、馬券的にはこのあたりまで絡めたい。


予想は通常レース前日の夜以降にご覧いただけます。


立山輝


ここしかないをやる漢!


ビッグプランが立ち上がった。障害戦で敵なしのオジュウチョウサンが夢に挑戦。見つめる先は「有馬記念」、鞍上はかつての盟友たちを有馬記念制覇に導いた「武豊騎手」

福島「開成山特別」を快勝したオジュウチョウサン。ローテ-ションの流れから次の南武特別を勝たねば、有馬記念に出走するチャンスが訪れない。

「やるしかない」

この言葉のプレッシャーが最も似合う男こそ武豊騎手だろう。
ピークの過ぎたオグリキャップで有馬記念制した奇跡の走り。
勝って引退というオーナー北島三郎氏の願いをかなえた昨年の有馬記念。

「ここしかないを決めてくる」

有馬記念のためにも敗けられない一戦となった南武特別。
豊騎手のゴーサインに反応、たやすく好位2番手、最も難しい局面で簡単に思いをかなえてしまう、スーパースターのなせる業だ。ペースは澱みなく進み直線。道中。直線も慌てず坂上まで追い出しを我慢する。左鞭を使いまっすぐ走らせようとしながら粘り込んだ。武豊騎手の小さなガッツポーズが印象に残る。彼もまたベストレースと確信したのではないだろうか。
結果、フォン投票の第3位にオジュウチョウサンを導くこととなった。有馬で再び?!このシナリオにも期待したい。

★「有馬記念はオジュウチョウサンと言いたいところだが実は……」
有馬記念は「馬が走るのではない、人が走るのだ」。必ず何かしらの大きな使命を持った人が有馬を勝つという演出が毎年繰り返されている。今年、最も大きな使命を背負いし漢はHボウマンと見た。彼はサンタのように中山競馬場を訪れる。JRAの憎らしい演出がそこにないか。出馬表をしっかりと検証したい。

予想は通常レース前日の夜以降にご覧いただけます。



※この記事は有馬記念前に書かれたものです。



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